ネイサン・チェンはニューヘイブンへ行くための荷造りをする
- 2018.09.01
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From Champs Camp 2018: Nathan Chen Packs His Bags for New Haven
U.S. Figure Skating の「FAN ZONE!」に、Champs Camp 中に行われたインタビューが掲載されました。
By Lynn Rutherford
Posted by U.S. Figure Skating 8.30.2018
昨シーズン50点近く他を引き離してワールドのタイトルを獲ったネイサン・チェンは、この秋、コネチカット州ニューヘイブンのイェール大学に入学すると発表した。3,000マイル離れた南カリフォルニアを拠点としているラファエル・アルトゥニアン(Rafael Arutunian)コーチと長い間一緒に練習してきたが、今後の練習は競技の週、祝日、Skypeに限られる。この場合、どの程度効果的なのだろうか?学生生活を送る中で授業が詰まっているのに、クワドジャンプを維持するための十分なトレーニングは可能か?彼の学業とコンペのスケジュールはぶつかるのだろうか?
チャンプズキャンプで、「それはまだ進行中の案件です」とチェンは述べた。「僕は木曜日(8月23日)にニューヘイブンに引越します。幸いにも、多くの人々が僕を助けてくれました。イェールのスタッフとスケート連盟は、僕を助けるために力を合わせています」
チェンの計画についてもう少し詳しく:
ファンゾーン:どこでトレーニングする予定ですか?
NC(ネイサン・チェン):キャンパス内とキャンパス外にすでにかなりの時間の氷上練習が設定されています。(キャンパス内)はニューヘイブンにあり、他のリンクは約30分のところです。滑れる状況によってどちらかを使います。
クラスのスケジュールは出てきましたが、僕が取るクラスは最終的にはまだ未定です。大学に入ってからカウンセラーと話します。新入生は多くのクラスが101という入門クラスですが、多数の学生がそれを受けようとしています。各クラスは約30人のクラス規模なので、学生達がそれぞれの希望クラスを受講できるわけではありません。だから抽選制になります。うまくいけば、僕が希望するクラスを獲れて、午後1時または2時に授業が終わり、残りの時間をリンクで過ごせるでしょう。
**101は入門や初級を意味します
(注:Phil Hershが最初にレポートしたように、チェンの今シーズンの競技スケジュールの多くは、Yale 2018/2019アカデミック・カレンダーとうまくあっています。彼のGrand Prixのイベント、スケートアメリカとフランス杯はYaleの休暇中に行われ、GPファイナルは秋セメスター末の試験休みと一致、2019年の世界フィギュアスケート選手権はYaleの春休み中に開催されます)
ファンゾーン:まだ医学予科(医学部に進学するための予備コース)を予定していますか?
NC:僕はサイエンス(科目)が多く必要な医学予科を希望していますが、まだ専攻について決めかねています。統計学を取ろうかと考えていますが、サイエンスには研究する時間が多く必要で、研究室での時間はスケート時間と偶然にも同じなので、それでは興味を持ってる事がぶつかってしまう。挑戦的であるが(同時に)スケートを続ける事も可能な最良のアプローチを探り出そうとしています。
ファンゾーン:あなたは最近、浅田真央のThe Iceで演技し日本から帰国しました。そして、あなたは今春のStars on Iceにも参加しました。その間、トレーニングはどのように行われましたか?
NC:僕は日本をたびたび訪れ、そして明らかにStars on Iceには多くの時間をとられました。しかし、それ以外ではトレーニングはかなりうまくいっています。ラファと多くの時間が過ごせたのはとても良かったです。コネチカットへ行く前にしっかりした土台を築きたかったのです。夏の間に失ったものを取り戻すのではなく、その土台の上に築き上げていく。失ったものは多くはないと思います。僕はまだ全てのクワドを跳ぶ事ができるので、試合で跳ぶクワドを選択することができます。
ファンゾーン: The Iceで演技した(今季の)競技プログラムについて話してください。
NC:ショートはボストン・ブラスが演奏してた凄く人気のある曲”キャラバン”です。僕が滑るのは少し違った編集の「キャラバン」で、ドラムっぽい音が沢山入っていてクールです。フリーはウッドキッドの“Land of All”(ランド・オブ・オール)で、去年僕が滑ったのと(芸術的には)同じ方向性のものです。ショートはかなり違っています。凄くジャズっぽくて楽しい感じ、観客とやり取りすることができるので凄く楽しくていいですね。フリーは雰囲気があり、僕のキャラクターや動きを進化させるのに役立ちます。
振付師のShae-Lynn Bourne(シェイリーン・ボーン:ショートプログラム)と、Marie-France Dubreuil(マリーフランス・デュプレイユ:フリープログラム)とは、プログラムをクリーンにしたり両方のプログラムを作りあげる為にもっと作業をしていきます。 +5、-5の新ルール(ジャッジのGOE範囲を-5から+5に拡大した)と、クワドについてのルール(繰り返せるクワドは1つだけ)が決まったので、プログラムは少し変えますが大きな変更はしないと思います。僕はジャパンオープン(10月6日)で演技します。これは素晴らしいことです。フリーを少し試す意味もあります。スーパーシリアスな大会ではないけれど、だからこそプログラムをそこで(試して)滑るには良い機会になります。
以下注釈部分(ミニ解説)
ネイサンが履修しようとしている入門レベルの科目群のことを101(ワン・オー・ワン)と呼んでいますが、近年日本でも文部科学省主導で科目にナンバーを付けるアメリカ型の”ナンバリング”制度が殆どの大学で行われています。例えば、例に出てきた100番台は入門・初級レベル、200番台中級レベル、300番台応用レベルなどで、その後ろに個々の科目が割り当てられます。
つまり、ナンバリングとは、授業科目に適切な番号を付し分類することで、学修の段階や順序等を表し、教育課程の体系性を明示する仕組みのことです。対象とするレベル(学年等)や学問の分類を示すことで、学生が適切な授業科目を選択する助けとするのが目的です。
このナンバリング制度と同時に示されるのが”履修系統図(カリキュラムマップ)”と呼ばれるものです。これは、学生に身につけさせる知識・能力と授業科目との間の対応関係を示し、体系的な履修を促す体系図で、最近はビジュアルなものも多く見られます。ネイサンはカリキュラムマップを見ながらアドバイザーと一緒に今後両立可能な最良なプランを練っていくことになりそうですね。