先輩レジェンドからの講評と今季ネイサンの戦略
- 2019.03.29
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By any measure, Nathan Chen’s performance at Worlds matches standard for transcendent greatness
ワールドでのネイサン・チェンの演技は超越的で偉大なレベル
NBC Sports
Transcendent greatness in sports is both absolute and relative. Nathan Chen was both at the 2019 World Figure Skating Championships. By any measure, Nathan Chen’s performance at Worlds matches standard for tran... - OlympicTalk |
フィリップ・ハーシュ氏のワールド総括記事の要約です。先輩レジェンドや振付のシェイリーンからネイサンの演技についての講評と羽生選手との戦いや今季の戦略について。
※主に会話部分の抜粋です。
カート・ブラウニング
見解をまとめられない。彼が学校に通い、あの様な多種クワドの練習をし、とても優れたパフォーマンスをどうやって可能にしたのかわからない。それも、全ていとも簡単にやったんだ。彼はとても落ち着いていて、世界選手権優勝を『楽々』と果たしてしまった。
彼は音楽のニュアンスを活気づかせ、SP/FS両方のプログラムに非常に多くのエネルギーを注ぎ、最高難度の技術で観客を楽しませた。だから彼が最も優れたスケーターかどうか議論されるだろう。SP/FSいずれのプログラムも技術的エレメンツなしでショーで十分通用するだろう。
ブライアン・ボイタノ
信じられないよ。冷静に、焦らず、強さを持って、集中して、成し遂げた。1年かけて全てが彼という落ち着くべきところに収まったんだ。優勝が決定した数時間後のインタビューでネイサンが僕に語ったのは『まさにこれを目指して練習してきたんだ。これこそ僕がスケートで得たかったもの全てなんだ。本当にそれが叶って驚いている。』
スコット・ハミルトン
ネイサンは、僕が不可能だと思っていたレベルで継続的にパフォーマンスしている。
シェイリーン・ボーン
彼がパーソナリティをシェアしていく辺りから見ている人は何かを感じるはず。ただエレメンツをこなしているだけじゃない。パーソナリティの一部をしっかりとシェアするのは簡単ではない。
私達が最初に振付を始めた時から、ネイサンは進んでそうしようとしていた。彼の演技を観る度にもっとそう出来るようになっていった。全てが噛み合っている感じ。全てが噛み合っているので、基礎的部分(PCS)を全てカバーし、ホールパッケージを示せる様になってきた。
ただステップを踏むのではなく、ステップの一つ一つを明確に示しながらどの様に踏むのか。ただジャンプを跳ぶのではなく、どの様にジャンプ体勢に入り、着氷して次の動きにどう持っていくか。それはブレードに乗るということ、だからジャンプを跳ぼうとしている様に感じない。今回はそれらの全てが現れた。それが私達が氷上で滑る彼をどう観てどう認めるか全てに影響している。
コーチ歴44年のラファエル・アルトゥニアン
あれよりもっと良い滑りが出来たはず。
彼には選択技がない。スポーツは一つのところで留まらないから。僕が望むのは、彼がそれをする為にイェールが彼により多くの時間を与えてくれることを願うだけだ。
ネイサン
去年の夏のジャパンオープンは、夏のイベントの一つとして練習しただけでプログラムを滑りきれる状態ではなかった。それで気が付いた。自分がやってる事を維持したいなら、もっとしっかり練習しなければいけないとわかったんだ。
(両立については)とにかくまずやってみてから考える事にした。うまくいけば全てが望む様になるだろうと。幸運にもそうなった。
試合毎に成長できた。学校でも成果が現れる様になった。本当は両立できるかどうか自分でも疑っていたんだ。求めるものが高過ぎて、それに引っ掛かりやすい人もいる。
勿論いろんな人にサポートしてもらった。特に家族とラファ。これを僕がやると決める上で重要な役割を担ってくれた。
(去年のジャパンオープンで4Loを飛んで失敗。あれで目が覚めた。)グランプリシリーズ序盤に向けて、クワドの数をどうするか賢くなった。試合毎に自信をつけていった。
(日本開催の世界選手権での連覇に向けて、地元の羽生選手に勝つために追加で何かしなければならないと思った。フリーに5クワド入れて練習したがなかなか思う様に安定させることができなかった。それで全米の4クワドに戻した。)
構成を決めたらブレなかった。これが一番良いとわかって自信が高まった。つまり、この構成で(全米で既に)上手くいったし、これよりも高難度のプログラム構成で練習してきたけれど、今は難度を下げた方だから。同時に、トップ選手達は多くのクワドを跳ぶとわかっていたので、誰がクリーンに跳ぶかが争点になるはずだ。
SPが終わり、羽生選手は4Sの回転不足でマイナスのGOEが付いた。それでもラファは、ミスは許されない、この優勝は昨季の優勝よりも意味があると言う。なぜなら羽生選手の出場、滑走順の影響、昨季の世界選手権だけではなく全米でも良い滑りをしたから。
僕達はスケートではまったく異なる場所にいる。彼は物凄い事を既に達成している。彼が始めたものを奪おうとしてるのではない。彼がこのスポーツで、このスポーツの為にやってきた事全てをリスペクトしたいんだ。
僕は彼の下の世代。彼はいつも目指してた人。僕は彼との差を縮めようとしてきた。僕はこんな立場にいるのに慣れていない。でも、この状態になる様に練習を積んできたんだ。