ネイサン・チェン選手に関するアンケート結果報告(Vol.1)

ネイサン・チェン選手に関するアンケート結果報告(Vol.1)

2018年年5月5日
調査主体NathanChen JP

 本レポートは、NathanChen Jpのサイト開設に合わせ、スケートファンが彼についてどのように感じているか、また、ファンの方々がどういう方々なのか実態を知りたくツイッターを通じて調査した結果です。回答日数が短いなか771人という多くの方々にご回答頂いたことを改めて感謝申し上げます。
 特に今回調査をしてみて半数近くの方が自由回答に熱い想いを綴ってくださるなど、皆さまの熱狂的なネイサンへの想いを知ることができました。その中には近くにネイサンのファンがおらずなかなか語れない、もっと試合やショーの後多くの人と語り合いたいなどという意見が多く、新しく作られたHPではフォーラムも設けました。こちらの方もぜひご利用ください。今後もネイサンに関するアンケートは堅いものから楽しいものまで幅広くやっていきたい所存です。これからもどうぞご協力のほどよろしくお願いいたします。
 今回報告第一弾としまして単純集計とクロス集計を中心に結果と考察を報告します。第二弾ではさら詳しく、また自由回答についても分析していきます。お楽しみに。

1. 調査概要

(1) 調査日  2018年4月19日(木)~4月23日(日)5日間
(2) 調査方法 Twitter(NathanJP)による自記式インターネットアンケート
    (回答デバイス PC16.6%、スマホ76.3%、タブレット7.1%)
(3) 回答数  771名(男性1.2%、女性98.2%、その他0.6%)
(4) 回答者プロフィール

図1年齢              

図2居住地

図3ネイサンが一番のお気に入りか

2. 調査結果

今回の調査ではネイサンが一番お気に入りのスケーターかどうかを最初に質問した。約6割の回答者が一番のお気に入りであった(図3参照)。以下、このはいーいいえの2群に分けての分析結果も示す。以下、はいの人たちをネイサンファン(ネイサンが一番好きなファン)と呼び、いいえの人たちをライトファン(一番ではないが、アンケートに回答して頂いたことからそこそこ気になる存在と解釈した)と略すことにする。また、文中、選手や振付師の名前は敬称略させて頂くことを承知願いたい。

 

ネイサンファンはどこから?

ネイサンを好きになる前は誰のファンだったか(男子シングルに限定)について聞くと、図4のようにベスト3が高橋(110人 24.0%)、羽生(50人 10.9%)、宇野(38人 8.3%)の順であり、海外スケーターからの転向ではなく以前は日本人スケーターのファンだったのがわかる。また、特にいなかった人も52人(11.4%)と多く、ネイサンが男子で初めて応援する選手の人が意外に多い。その他では町田(8.7%)、小塚(5.7%)と日本人スケーターの名前が挙げられた。

ネイサンが一推しではない回答者は誰のファンなのか聞いたところ、羽生(24.3%)、高橋(23.6%)、宇野(23.0%)とここでも日本人スケーターが上位を占め、ネイサンが何番手の選手かこの質問ではわからないが、少なくともネイサンのアンケートに関心を示し答えて頂いたことがわかる。

図4.以前好きだったスケーター(いいえは今一番好きなスケーター)

出所)NathanJP独自アンケート n-=771

 

4割が海賊堕ち

ネイサンファンにだけ質問したネイサンに堕ちたきっかけでは、海賊、ネメシス、韃靼人の順に多かった。平昌堕ちも5.7%いた。ジュニア時代からは9%であり、9割以上はシニアに上がってからなのがわかる。その他の回答で多かったのはパラシュート、Stole the Showのエキシプロ。

どこに惹かれたかの自由回答では458人ほぼ全員が回答していた。特に熱かったのは「平昌堕ち」の方々。中にはフィギュア男子は今まで見たこともなく平昌もごぼう抜きのことを新聞で読んで後追いでネットの演技を見てハマってしまったという人もいた。「平昌堕ち」は演技だけでなくフリーで見せた精神力を挙げている人が多いのも特徴的だ。最も多かった「海賊堕ち」の共通点はバレエ。ほぼ全員がダンサーのような所作や指先から足先までの美しさについて書いていた。詳細については第二弾のレポートに譲る。

図5.好きになったきっかけや時期

出所)NathanJP独自アンケート n-=458

好きなプログラムはネメシス圧勝

シニア以降での最も好きなプログラムに全体の57%の人がネメシスを挙げた。ネイサンファンとライトファンに分けても差はなかった。上述したように「海賊堕ち」が多いにも関わらず海賊を選んだ人が12.3%(ネイサンファンは12.2)と想像以上の差であった。そこで「堕ちたプログラム」と「好きなプログラム」の相関があるかどうか調べると「海賊」についてはやや相関が見られるものの、「海賊堕ち」の47.4%が好きなプログラムにネメシスを挙げており、ネメシスの強さが伺える結果となった。

 

図6-1.シニアデビュー後一番好きなプログラム

図6-2.シニアデビュー後一番好きなプログラム(堕ちプロとの関係)

出所)NathanJP独自アンケート n=771

演じて欲しいのはバレエ曲~堕ちたきっかけで変わる好み

2018-19シーズンどういうジャンルの曲をやって欲しいか聞いたところ一位バレエ曲(58.1%)、二位クラシック(51.6%)、三位ジャズ(48.8%)という結果になった。ここでネイサンファンとライトファンを比較すると、ネイサンファンはクラシックやバレエ曲をヨリ強く望んでいるのがわかる。ネイサンファンのみで「堕ちた時期」とクロスしてみると、なかなか興味深い結果が得られた。「海賊堕ち」はどのグループよりバレエ、クラシックを強く望んでおり、逆に「ネメシス堕ち」は望んでおらず、ジャズが一番。その他も多く(9.7%)内容を見てみるとロックを挙げている人が多かった。「ジュニア堕ち」のグループも特徴的でジャズが一推しであり、他グループよりヒップホップの希望が圧倒的に多く、マイケルプロなどジュニア時代のアップテンポな曲をまた滑って欲しいのかもしれない。

自由回答で特に演じて欲しいプログラムを聞いたところ、約半数の384名から回答が得られた。詳細は次回に譲るが、「ボレロ」と「ドン・キホーテ」の2つが双璧で他に「ウエストサイドストーリー」「オペラ座の怪人」「仮面舞踏会」などが複数人から寄せられた。中にはYouTubeのURLを貼ってくる人や何歳でなど注釈を付けるなど回答者の真剣さ熱さが伺えた。

図7.2018-19シーズン演じて欲しいジャンル

出所)NathanJP独自アンケート n=771

図7-2 2018-19シーズン演じて欲しいジャンル(堕ちプロとの関係)

 

出所)NathanJP独自アンケート n=771

見てみたい振付師は半数以上の人がシェイ=リーン・ボーン~「海賊堕ち」はズエワとタラソワLOVE

次に見てみたい振付師を聞いたところ、一位シェイ=リーン・ボーン(51.1%)、二位バトル(37.6%)、三位タラソワ(35.4%)となった。ネイサンファンとライトファンとの間に差はなかった。「堕ちた時期」とクロスしてみると「ジュニア堕ち」と「海賊堕ち」に特徴が見られた。「ジュニア堕ち」はジュニア時代のカナエワを推す人が多いこととボーンが34.7%と他グループに比べ15%以上低かった。「海賊堕ち」も非常に特徴的でボーンの一位は変わらないが、二位にタラソワが入りズエワとミルズが健闘するなどここでも「バレエ」がキーワードになっていることがわかる。その他の回答では最も多かったのはパスカーレ・カメレンゴ。次に宮本賢二、ランビエールが挙がった。

図8-1 希望の振付師

 

出所)NathanJP独自アンケート n=771

図8-2 希望の振付師(堕ちプロとの関係)

出所)NathanJP独自アンケート n=771

全質問中ファンとファン以外で最も差が出たスポンサーへの態度

平昌五輪を控え、ネイサンにはコカ・コーラ、ブリヂストンのワールドワイドパートナーを初め、ケロッグ、ユナイテッド航空、ナイキと多くの五輪スポンサーがついたのは記憶に新しい。これらの企業がネイサンをスポンサードする理由は様々であろうが、ファンは好きな選手をサポートしてくれる企業に対してどのように感じるのか調査してみた。各スポンサー企業についてネイサンのスポンサーにつく前と後で前より
①興味・関心を持つようになったか ②親しみを感じるようになったか ③信頼感が増したか ④企業イメージが良くなったかの4つの質問である。”非常に当てはまる”、”やや当てはまる”を合算してポジティブ態度として見ると、全体的にどの項目も前よりポジティブになっているのがわかる。

さらにネイサンファンとライトファンとで比較するといずれも大きな差が見られた。①の興味・関心ではネイサンファン―ライトファンとではポジティブ81%―59.7%(+21.3%)、②親しみ 82.9―69.2(+13.7%)、③信頼感 64.4-41.2(23.2%)、④企業イメージ 80.8-63(+17.8%)といずれも大きな差がある。③の信頼感は中長期的に亘って作られる態度であり一朝一夕で上がるものではないだろうが、それでもネイサンファンは64.4%の人がポジティブな態度を示し、この指標が4つの中では最も差が大きかった。他の3つ(興味・関心、親しみ、イメージ)では8割以上の人が前よりポジティブな態度を示しているのは驚異的なことであろう。最後に実際に当該企業の商品やサービスを購入したくなったかという問いに対してはファンは購入したくなった人がなんと83.6%、ライトファンでも62%の人が購入したくなったと答えた。つまり、熱烈なファンである人はもちろん、そうでないライトな人もSNSなどを通じて情報として認知することで一定の宣伝効果があり、購買意向が高まったと言えるのではないだろうか。

図9-1 スポンサーへの興味・関心が増したか

図9-2 スポンサーへの親しみが増したか

図9-3 スポンサーの信頼度は高まったか

図9-4 企業イメージは高くなったか

図9-5 スポンサーの商品・サービスを購買したいか

出所)NathanJp 独自アンケート n=771

ネイサンの情報はTwitterとInstagramが中心

本アンケートはTwitterを通じて実施したものであり当然の結果でもあるが、Twitterから情報を得ている人が95.3%と多く、次いでInstagramから66.5%が得ていた。ファンはネイサン本人がインスタ好きの影響なのか77.5%と多くの人が情報収集のツールとしており、ライトファンの50.5%と比べると大きな差となった。個人ブログもよく読まれているようでである。

図10.情報入手ルート

出所)NathanJP 独自アンケート n=771

7割がさいたまワールド観戦予定

今後のショーや試合のうち生観戦したいものを聞いたところ、約7割がさいたまワールドを予定し、ファンに限ると長野メモリアルイベント、DOIと国内のショーが続いた。しかし、GPF(バンクーバー)が39.1%、全米、スケートアメリカ、四大陸も約3割の人が観戦予定であり、アメリカのSOIやサンバレーのアイスショーに関しても予想を上回る回答で国内だけでなく海外に彼を観に行きたいファンが大勢いることが明らかになった。

図11.今後の試合・ショー観戦予定

出所)NathanJP 独自アンケート n=771

好きなクワドは圧倒的にルッツ

ネイサン自身はトゥループが一番好きとインタビューで答えているが、回答は圧倒的にルッツであった。ファンに至っては約8割がルッツを挙げている。高難度中の高難度ジャンプで、少数のスケーターしか跳べないクワドルッツは、軌道からワクワクさせられネイサンの代名詞といっても過言でないだろう。

図12. 好きなネイサンのクワドジャンプ

出所)NathanJP 独自アンケート n=771

3.まとめと簡単な考察

これまでアンケートを単純集計とクロス集計を中心に結果をみてきた。最後にこれまでの結果をまとめるとネイサンのファンの90%以上はシニアに上がってからのファンであり、ファン歴が他のスケーターに比べると非常に浅いと言える。ファンの多くは日本人スケーターからの転向であり、これまで特に好きなスケータはおらずネイサンが好きになった最初の男子スケーターという人も多く存在した。またファンとしてのスタートがほぼ全員差がないためファン歴(の長さ)によって気後れすることがなく楽しいといった意見も多数あった。

ネイサンを好きになったきっかけは「海賊」が4割を占め、いわゆる「海賊堕ち」の人のキーワードは「バレエ」であり、彼らは今後やって欲しいジャンルやプログラム、振付師などことごとく「バレエ」にこだわる人が多かったのが特徴的である。

ネメシスはどの「堕ち層」からもほぼ高い評価を受け、全方位型のプログラムであったと言えよう。

今後演じて欲しいプログラムはバレエ曲が最も支持され、自由回答で曲名を書いてもらった結果もボレロ、ドン・キホーテ、プロコイエフのロミオとジュリエットなどバレエ曲が非常に多く挙がった。振付師についてはネメシスのシェイ=リーン・ボーンが最も支持され、その個性的で独特な動き、クールでカッコいいダンサブルなプログラムを望む声が多い。ジェフリー・バトルも根強い人気があり、兄弟弟子でもあることから一度はと思っている人も多いだろう。バレエ派はタラソワ、ズエワといったロシア人を推す声が多かった。

ネイサンの情報についてはTwitterやInstagramなどSNSが中心であった。今後はTwitterでは速報性のある情報を、ゆっくり読みたい時は本サイトをぜひ見て欲しいものだ。

今回の調査の中では少し異色のものとなったのが、ネイサンのスポンサーへの態度変容である。スポンサーに対しては8割以上の人が興味・関心を以前より持つようになり、企業イメージも好転し、親しみを持つようになっていた。信頼性さえも6割以上の人が増し、8割以上の人が商品・サービスの購買意向を示した。

アメリカでは多種多様なメディアを通じてプロモーションが展開されたし、消費財メーカーであるケロッグやコカ・コーラは代表的商品のパッケージにネイサンを器用した。ユナイテッド航空に至っては機内誌や動画でスーパーヒーロー「キングクワド」として他のメダル候補と一緒に取り上げた。しかし、日本ではそのどれも展開されたわけではなく、ファンはネイサン自らのSNSでの告知やインターネットの情報を通じて知ったに過ぎない。その状況でネイサンがスポンサードされたという事実のみでここまでその企業に対して愛着心や忠誠心が高まるのは企業にとっては大きなインパクトではないだろうか。「好きな選手のスポンサーに対して人は好意的になる」という仮説が成り立つのかどうかについては今後さらにみていく必要がある。

4.おわりに

今回はネイサンのイメージなどいくつかご報告できていない項目もあり、また、冒頭にも記したが、自由回答が信じられないほど寄せられ嬉しい悲鳴ではあるが読み込んでコーディングしていく時間が取れずに次回になってしまったことをお詫び申し上げたい。次回は残された項目の結果と自由回答部分の分析を中心に報告したい。

今回700名を超える多くの方々からご回答を頂いた。Twitterという限られたツールの中での回答であり、この回答自体にネイサンファンとしての代表性があるかどうかは何ともいえない。しかし、この調査を通じて実態が少し見えてきたように思う。自由回答の分析によりさらに多くの情報をファン全体、そしてできればネイサンや関係者とも共有していきたいと考えている。

アンケートへのご協力本当にありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。

読まれた感想やコメントを下記のコメント欄から是非お寄せください。